ある日ある場所で二人は出会いました。
二人はお互いもうおじさんおばさんで、
恋をするような年齢じゃありませんでした。
でもお互いがお互いの心地よさに気付き、
ごく自然な流れで二人は一緒にいるようになりました。
女性の方には前の旦那さんとの間に3人の子供がいましたが、
男性は我が子のように子供たちを可愛がりました。
子供たちもまた男性を実の父親以上に慕うようになりました。
やがて二人に5人の孫ができます。
二人は孫たちを平等にたくさん可愛がりました。
孫たちもそんな二人が大好きでした。
二人も仕事を終える年になり、第二の人生を歩む時になりました。
前以上に二人は一緒にいるようになりました。
仕事をしているときには行けなかった旅行にも行くようになりました。
二人は本当に幸せなときを過ごしていました。
女性は大変なマイペースな人で、時には家族までいらつかせてしまうひとでしたが、
男性は彼女をいつも暖かく見守っていました。
彼女がどんなに怒っても、やつあたりしても、彼が彼女に言い返すようなことはありませんでした。
すべてを受け止め、彼女がまた笑うのを静かに待っていました。
彼はいつも彼女を中心に時を過ごしていました。
どんなに体に異常が見つかっても、しんどくなっても、彼女のそばを離れるようなことはしませんでした。
いつだって彼は彼女のそばにいました。
しかし、ついに彼に限界が訪れます。
彼女が1人でも生きていけると確認すると彼はようやく永い永い眠りにつきました。
本当に安らかな寝顔でした。
いつも一緒にいた二人。
決して法律上夫婦ではなかったにしても、彼らはそれ以上に夫婦のようでした。
みんなの憧れです。
何年時が経っても、やがてひ孫の世代になっても、二人の間の思い出は色褪せることはなく語り継がれるでしょう。
彼女は最後に彼に言いました。
ありがとう、と。
彼も彼女に言いました。
短い間やったけど楽しかった、と。
それはありふれた日常の中での、たった一つの恋のお話。
どんな夫婦よりも助け合い、愛しあった二人のお話。